2016年12月9日金曜日

亀虫と、1か月

 10月のできごと。見付けたら嬉しい、でも、少し迷惑なこともある昆虫との1か月。

【遭遇】・・・1日目(2016年10月3日)

 わたしは、室内で植物の鉢を覗いていました。すると、鉢の縁に一匹の亀虫がいました。霧を吹いてあった植物の中を通ったのか、所々湿っていた亀虫。植物は・・・、無事なようでした。

亀虫との遭遇、どこからきたの?
そのとき、亀虫を植物から遠ざけたかったわたしは、息で吹き飛ばしました。そして、植物の無事をより確認すべく、インターネットで亀虫の種類を検索しました。それによると、ホオズキ亀虫というようです。草食のようなので、鉢から出したのは正解でした。

ホオズキ亀虫というらしい、細身で奇麗?

【再会】・・・3日目(2016年10月5日)

 この日、とっさに思い付いた川柳。

  亀虫に
  優しくしたら
  住み着いた

 2日前に、亀虫を鉢から出して放っておいたのですが、戸は開けていたので、出て行くこともできたはずです。しかし、またしても亀虫は現れました。

 今度は、部屋に貼ってあるお札にいました。しかも、亀虫はお札の「運」の文字上にいたのです。わたしには、その亀虫がとても縁起のいい生き物に見えました。神様の使いとか化身なのかな?
 わたしは迷信深くはないのですが、いいように解釈することにしました。亀虫(運)が、わたしを見守ってくれている、優しくしたから。何だか、不思議な出会いでした。

【亀虫から学んだこと】・・・4日目(2016年10月6日)

 癒される。部屋の中に、緑があるって、いいよね。なんて思いつつも、亀虫が気になったわたし。
 相変わらず同じ場所にいることで、わたしの中で、その亀虫の神々しさが増しました。
 わたしが亀虫に息を吹き掛けてみると、左前足が動きました。よかった、元気そう。

 その後、少しして・・・。

 あれっ、亀虫は?
 さっきまでいた亀虫がいないことに気付きました。
 実は、その前に、亀虫を棒に乗せようとしたり、口に水を運んだりしたのですが、そのときには動きたがりませんでした。亀虫は、棒で突っつかれたから移動したのかもしれません。
 飛ぶ体力が残っていてよかった。亀虫が自分で外に出られるよう、戸を開けておくことにしました。

 この日に、亀虫から学んだこと。

  人間が何か手助けをしなくても、虫は生きている。
  だから、戸を開けておいて、あとは放っておけばいい。
  虫が入ってこないように、戸を閉めておくのがお互いのためになる。
  そして、虫が入ってくると、戸を開ける。
  そうやって、自然を、自然にしておく。

 当時読んだ本によると、「当然のことだが、人間は自然だ」といいます。解釈の仕方によっては、「人間は、自然と共に、自然にあるべきだ」ということになります。「人間(自然)が自然に手を加えることで、自然にいいことをしている」、なんていうのは、不自然な方法で自然に作用できるという人間の傲りなのかもしれません。

【亀虫のたくましさ】・・・10日目(2016年10月12日)

 椅子に座って眺めた景色に、またしても亀虫。無意識に口が開きました。
 右上の、柱の亀虫を見ながら、色々なことが頭を巡りました。「久しぶりだね」、「何日もこの部屋にいたの?」、「何も食べていないだろう」、・・・。そして、そのたくましさに、「お前、やっぱり凄いわ」なんて思いながら口を閉じました。

【亀虫の生命】・・・12日目(2016年10月14日)

 わたしは、植物の手入れをしていました。相手は生命、ぞんざいにはできません。

 すると、またしても、亀虫。「お前、部屋にいたのか」とその存在に気付きながらも、それまでのことを整理しました。戸を開け放して、部屋から出たのかと思っていたら、柱にいて、・・・そうか、何日も部屋にいたんだ。相手は生命、ぞんざいにはできません。

【成長】・・・13日目(2016年10月15日)

 そこにいたはずの亀虫が、目を離していた隙にどこかへ移動していました。飛んだのかもしれません。元気なことに感動すると同時に、わたしは亀虫の行方を知りたいと思いました。
 ここで大事なことは、自然を閉じ込めてはいけないということ。相手は生命であり、それは、植物も、亀虫も同じことです。先日は、部屋から出て行ったと思って戸を閉めてしまいましたが、見付け次第、また開ければいいんです。

 亀虫について書いていると、わたし自身の書き方が変化したことに気付きました。当時は、状況の説明をするという普段の書き方ではなく、口語調で、思ったことを、思ったままに書いていました。
 心の中のことを書くことによって、読み返したときに、当時の感情、感覚が頭に流れ込んでくるといいなんて思っていました。そして、状況の説明だけでは残せないことを、書き方を変えることで残そうとしていました。そういう書き方ができていれば、素晴らしいです。
 そして、心に浮かぶことを書き続けていれば、手は止まりません。そういえば、わたしが書く文章は長くなりました。亀虫といることで、わたし自身が成長していたのかもしれません。

【食べちゃったのか?】・・・16日目(2016年10月18日)

 亀虫が、植物の鉢に再び現れました。前回と同じく、鉢の縁にいた亀虫。鉢の縁を好むというより、鉢の縁にいるときに気付きやすいのかもしれません。
 わたしが「久しぶり」なんて思っていると、亀虫が植物の茂みに入り込みました。「ちょっと待って」、わたしは、茂みを掻き分けて進んだ亀虫を、楊枝を使って鉢の外側に押し出しました。亀虫が草食らしいことは知っていたので、申し訳ない気持ちではあるものの、鉢から出てもらいました。

茂みの中の亀虫、快適に暮らしているところ申し訳ないんだけれど・・・

 「喉が乾いただろう」、わたしは亀虫に霧吹きの水を垂らしました。そして、「わたしが気付く前に、植物の樹液を吸っていたかもしれない」、「お腹が空いただろうに、少し吸うだけならいいよ」、なんて亀虫の食料不足について考えていると、植物の茎の変色を見付けました。その付近を掻き分けると、数本の苗が変色していたり千切れたりしていました。「亀虫さん、お前、植物食っちゃったのか?」

 わたしは、亀虫に食べられたらしい苗を引き出しました。全部で4本。そのうち、1本は大きく変色して、また、1本は変色した部分から上が曲がっていました。そして、2本は千切れていました。他の部分を掻き分けて、変色している苗はこの付近に集中していたことが分かりました。「亀虫さん、本当に食っちゃったのか?」、亀虫への疑いが強まりました。

 鉢の外側にいた亀虫を、鉢から出すことにしました。しかし、楊枝で出そうとしても、亀虫は力強く抵抗しました。「亀虫、お前、植物を食べて栄養を付けたな」、亀虫への疑いが、確信に変わりました。

 楊枝で押して鉢から取った亀虫を、鉢から移動しました。しかし、部屋に住み着いた亀虫を邪魔物扱いして追い出すような気にもなれず、付近に置きました。

亀虫を移動、鉢には住み着かないで欲しい
結局のところ、出て行くかどうかは、亀虫の判断に委ねました。亀虫さん、部屋にいてもいいけれど、植物の鉢に居住しないでね。

 その後に、亀虫の活動が活発になりました。

 亀虫をよそ目に青々と茂った植物を見ていると、亀虫が部屋の敷居のあたりにいることに気付きました。
 亀虫が、敷居の方へ向かって進んでいきました。「亀虫さん、元の世界へ!」、「そう、自分の足で行け」
 しかし、敷居付近に到着した亀虫は、敷居と並行して歩いていきました。「あれ?」、「さあ、何を躊躇う」
 そして、亀虫は、戸を上り始めました。「凄い、どうやって登っているんだ?」、亀虫の動きは速くなっていました。「やはり、食ったな、お前」

壁を上る亀虫、元気いっぱい!
路頭に迷う亀虫。行くあてはあるのか。わたしが亀虫にできることはあるのかを問い直しました。仲間のいる自然の中に戻りたいのか、それとも、安全な室内にいる方がいいのか。

【冬の気配】・・・22日目(2016年10月24日)

 植物の冬越し用に、保温性のある容器に入れました。箱入り娘ならぬ、箱入り植物。亀虫は手を出せないかもしれません。

【もしや・・・】・・・28日目(2016年10月30日)

 それから、亀虫を見かけない日が続いて、外に出たんだと思っていました。

 部屋の椅子に座っていると、耳元、カーテンの向こうから昆虫の羽音か何かが聴こえました。カーテンを叩いても反応しないので捲ってみました。
 「亀虫、お前か!」、いてくれたんだね、しかも元気そう。これが亀虫にとっていいことなのかどうかを考えさせられました。しかし、わたしは、部屋に住み着くことを選んだ亀虫と再会したことを少しだけ嬉しく思いました。

カーテン越しの亀虫、元気そう!
興味を持ったことを記録していただけなのですが、まさか1か月近い付き合いになるなんて思いませんでした。